防府天満宮の大石段の右脇にある「芳松庵(ほうしょうあん)」は、美しい日本庭園が整備された、癒しのスポットです。
初夏には青紅葉、秋には紅葉が美しく、訪れる人の心を和ませてくれます。
また、その一角には幕末の志士を偲ぶ建物「暁天楼(ぎょうてんろう)」が再建されており、幕末の歴史を感じることもできますよ。
木々に囲まれた静かな空間は、わたしにとってパワースポットのような場所です。
今回は、防府天満宮のお茶室「芳松庵」と庭園、また芳松庵の一角にある「暁天楼」についてご紹介します。
道真公とお茶
道真公がご存命だった平安時代は、遣唐使が中国に送られ、そこでお茶の文化を日本に持ち帰ってきた頃。
当時のお茶は、現代のような形ではなく「団茶」といわれる固形のものだったそうです。
お茶の文化は貴族やお坊さんなど上流階級に伝えられ広まり、楽しまれていました。この頃はお茶は、薬用であったり精神的な面を持っていたようです。
ですが遣唐使が途絶えたことにより、一時お茶の習慣が途絶えました。

菅原道真公は勅命を受け、お茶に関する故実を調査、研究して正史に著されました。それにより、宮廷に喫茶の習慣が再び広められ「茶聖菅公」と称せられたといわれています(防府天満宮パンフレットより)。
お茶を愛された道真公は、お茶を喫して「茗葉の香湯をもって、酒を飲むを免ず」、「煩懣、胸腸に結る、起きて茶一盞を飲む、飲み了りて消磨せず」と詠っています(「チャート茶道史」谷端昭夫、淡交社より)。
流罪となった道真公が、酒の代わりにお茶を飲んだり、憤りを癒やすために茶一盞を飲んでそれでも落ち着かない様子が伝わってきます。

薬用として、また心を落ち着けるものとして道真公が日頃より喫していたお茶。
その深いかかわりを現代に生きるわたしたちにも伝えるため、平成3年(1991年)に茶室「芳松庵」が建立されました。
お茶室「芳松庵」
以前こちらのお茶室にあがらせていただき、すっかり気に入った娘。今回は息子も誘って芳松庵に行ってみました^^

芳松庵は、お茶室とその建物を拝観することができます。
拝観時間は9:30から16:00。料金は800円(お抹茶と干菓子付き)です。
受付し記帳すると、お茶室に通されます。
とっても広いお茶室です! このお茶室では、毎月月次茶会が開催されているそうです。

巫女さんが干菓子をお持ちくださいました。そのあとお抹茶。
茶道がさっぱりわからないので、(どうしよう)と子どもたちと心配していましたが、「全然気にしないでください。お好きなように飲まれてくださいね」とのことでした。
お抹茶を出されると巫女さんも別室に戻られますので、気楽にお茶をいただくことができます。

お茶をいただいたら、建物の中を見学できます。
お茶室に面した廊下から見渡す庭園はものすごく美しいです。
ちょうどこの日は神前結婚式をされたご夫婦が、写真を撮りに芳松庵の庭園に来られていました。
建物の奥には、離れがあります。見学してみると、離れもお茶室でした。
巫女さんに伺うと、こちらの離れが本当の芳松庵なのだそうです。

入ってみると四畳半のお茶室、そして茶道具を置く棚も備えてありました。
四畳半と狭いこともあり、今はあまり使われていないそうですが、流派の師範の方などが時おりご利用になられるとか。
本来お茶室とは、狭いお部屋なのですね。

二階にも上がることができ、高い場所からも美しい庭園を見渡すことができます。
春は新緑・秋は紅葉スポット
芳松庵の庭園は、無料で見学することができます。
造られた庭ならではの、木と水の流れの配置の素晴らしさが感じられ、そして何よりも心がすうっと落ち着きます。
なくてはならない、癒しスポットです。
庭園は初夏には新緑、秋には紅葉が本当に見事です。

新緑の頃には池に映る木々の緑と鯉の泳ぐ姿に、紅葉の頃には足もとに落ちている紅葉のじゅうたんと彩り豊かなモミジに、心癒されるのです^^

芳松庵の紅葉は、例年ちょうど11月の終わり、御神幸祭りの頃に見ごろを迎えます。
ぜひお祭りとともに、防府天満宮でも紅葉を楽しんでくださいね。

芳松庵は、道真公の偉業をたたえるるために建てられたお茶室です。
また、参拝者の方の豊かな心の高揚に役立ててほしい、との思いも込められているのだそうですよ。
とくに秋の紅葉の時期には、お茶室から眺める庭園、庭園から眺めるお茶室、どちらもご堪能いただきたいですね。
ゆったりと、心満たしていかれてほしいです^^
史跡・暁天楼
芳松庵の庭園の一角には、勤皇の志士が密議を交わした建物である史跡・暁天楼が建っています。

もともと暁天楼は、天満宮門前の宮市にあった藤村屋という旅館の離れでした。
しかし、時とともに老朽化が進んだためにやむなく解体されました。
現在の建物は、昭和59年(1984年)、藤村屋の子孫の方のお力添えにより、絵図面にしたがって復元されたものです。
建物の1階の土間は、漬物小屋として使われていました。
じつは隠し階段で2階に登れるようになっており、2階の座敷で維新の志士たちがたびたび密談を行っていたそうです。
通常2階は、毎月25日のお茶会に併せて開放、悪天候の場合閉鎖です。
訪問した日は偶然開放されており、2階に上がらせていただけました。

とても急な階段をのぼると、6畳の座敷が2間つながった2階にあがります。
この少し狭く感じるお座敷で、高杉晋作や伊藤博文、山形有朋、坂本龍馬ら幕末の志士たちが膝を寄せ合って討幕の密談をしていたのを想像すると、タイムスリップしたような気持ちになります。
長い歴史の間に、様々な歴史上の人物がこの天満宮周辺を闊歩していたのですね。
天神さまと幕末の志士。全く関係がないように思っていたものが、こうしてつながっているなんて。
訪れる多くの方に知ってほしい、そして幕末の長州の志士の息吹を感じてほしいスポットです。
防府天満宮の御神木
また暁天楼の奥には、御神木が鎮座しています。空一面に大きく枝をひろげるクスの巨木の姿は圧巻です。

以前娘が「特別だよ」と、御神木の根っこに触らせてもらっていました。
とてもあったかかったと言ってましたよ^^
この少し小高い場所から、長い間静かに、防府の街の移り変わりを見守ってきた御神木。
娘の感じたあたたかさは、街を包み込むような優しさだったのかもしれません。
芳松庵においでの際は、ぜひ御神木も拝見していってくださいね^^
芳松庵詳細
〒747-0029 防府市松崎町14-1
TEL:0835-22-0214
拝観時間:9時30分~16時
拝観料:800円(お抹茶・お菓子付)
5名以上でお越しになる場合は、事前に連絡お願いします。
公式サイト:防府天満宮
まとめ
今回は防府天満宮のなかでも、わたしがいちばん大好きなスポットである茶室・芳松庵についてご紹介しました。
日ごろの喧騒から離れ、時が穏やかに過ぎていくような、心落ち着く空間がそこにあります。
道真公のお茶への深いかかわりを偲ぶとともに、心を豊かに穏やかな時を過ごしていただけたら、幸せます^^