「ひとつった」という方言をご存じでしょうか?
先日、お土産屋さんで外郎を買いました。その名も「ひとつった外郎」。
下松市のほうえい堂さんでつくられている外郎です。
「ひとつった」って何だろう?
気になって箱の裏を見てみると、山口の方言と書かれていました。
山口の方言「ひとつった」
ひとつずた(ひとつづつの意味)とにごっていた言葉が
その後「ひとつった」と言われるようになり、
現在でも山口の方言として用いられています。

へえ? 「ひとつった」って方言、聞いたことないなあ。
下関市出身で、防府市にも長く住んでいますが、少なくとも日常では耳にした記憶がありません。
下松の会社の外郎だから、県東部で使われているのかな?
そこでこの記事では、方言「ひとつった」がどこで使われているのか、その意味、地域で異なるニュアンスを調べてみました。
「ひとつった」とはどんな意味?
「ひとつった」は、「ひとつずつ」の意味です。
使い方としては、
このお菓子、「ひとつった」お食べなさい(一つずつ食べなさい)。
ほうえい堂の外郎の場合、「ひとつった(ひとつずつ丁寧に手づくりしている)外郎」という意味で使われているそうです。
「ひとつった」はどこで使われていた方言?
調べたり聞いてみたりしたところ、私のように「ひとつった」という言葉を知らない人も多い一方で、「祖母が使っていた」「子どもの頃によく聞いた」という声もありました。
また、「自分は使わないけれど年配の方が使っていた」「今でも『ひとつったお食べなさい』と言うことがある」という声もあり、実際に使われていた方言であることがうかがえます。
ただ、どの地域で広く使われていたのかははっきりしません。
方言は時代や人の移動とともに変化するため、使われていた範囲を特定するのはなかなか難しいようです…。
耳にした情報では、長門市周辺でおばあちゃんから「ひとつった取りさん、ふたつった分けさん」と言われていたという声、下関の日本海側で使っていたという声がありました。
また、防府市では「ひとつずった」を使っていたという声もあり、「ひとつった」と近い表現が県内各地で使われていたのかもしれません。
「ひとつずた」「ひとつつた」など似た言葉も
ほうえい堂さんの外郎の記載によると、「ひとつった」は「ひとつずた」が変化した言葉とされています。
「ひとつずつ」の意味を持つ言葉も、「ひとつずた」のほかにいくつかあって、
「ひとつつた」「ひとつわて」などのバージョンもあったそうです。
「ひとつずた」の「~ずた」は、おもに県北で使われていたかもしれないとされています(山口県方言辞典による)。
また「~つた」はおもに周防大島で使われていたのだそうです。
もしかすると、「~ずた」の濁音が清音に変化したのかもしれないですね。
「~わて」は、「~ずつ」の意味で、ほうえい堂のある周南地方でも使われていた方言とのこと。
「ひとつわて、ふたつわて」と使っていたそうですよ。
まとめ
方言「ひとつった」について調べてみたことをご紹介しました。
今回、「ひとつった」がどの地域で使われていたのかは、はっきりわかりませんでした。
ただ、「知らない」という人がいる一方で、「子どもの頃によく聞いた」という人もいて、山口県内でも地域や世代によって違いがあることがわかりました。
また、「ひとつずた」「ひとつつた」など似た言葉もあり、方言が少しずつ変化しながら受け継がれてきたこともうかがえます。
「ひとつった外郎」がきっかけで調べ始めましたが、思いがけず山口の言葉の奥深さに触れることができました。
言葉は生きている、そう思えました。
今、私たちが何気なく使っている言葉も、これから先、少しずつ姿を変えていくのかもしれませんね。